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Cécile Andrieu "Voix du silence"
セシル・アンドリュさんの個展に行ってきた。
セシルさんはフランス出身で、金沢在住のアーティスト。
以前このブログでも紹介した、洗足池病院に付属のGallery Cocon 古今で、"Voix du silence"(沈黙の声)という展覧会を開催中。

エントランスから奥の病院へと続く廊下の作品。タイトルは"Thesaurus"(宝)。
20110915cecileandrieu-1.jpg

近づいてみると、テキストが書き込まれた紙がぎっしりと詰まっている。
20110915cecileandrieu-2.jpg

この紙、実は保管期限の過ぎた病院のカルテを裁断したものだそう。
この廊下をさらに奥へ進むと、いわゆる古美術作品が展示されているのだが、病院のスタッフと患者の、病に対しての共闘の記録としてのカルテは、それら「国の宝」に比肩しうる「病院の宝」であると彼女は考えた。

古美術や骨董の魅力の一つは、「時間」である。人間の一生ではどうやっても持ち得ない、悠久の「時間」に対する憧れ、欲望。
もっと生きたい、と願った患者やその家族、治療に携わった医師や看護婦は、永遠に生きる事はできないけれど、裁断され平たいアクリルのカプセルにパックされたカルテは、あと数百年もすれば、隣にある古美術作品のようになるかも知れない。

1階から2階にかけての吹き抜け部分にある、"Vocem-D"(声-デュエット)。
20110915cecileandrieu-11.jpg

フランス語の辞書からはぎ取られたたくさんのページが、無数の小さな穴のあいたメタルフレームの中に閉じ込められている。
無音のままレベルメーターがMAXになったような印象を受ける。

2階にあがると、定規の様な長いイメージが並べられた作品。
20110915cecileandrieu-7.jpg

目盛りのような細部。タイトルは"MOT ETALON"(言語原器)。
20110915cecileandrieu-8.jpg

目盛りのように配置されている、おそらくテキストであったであろう部分は黒く塗りつぶされ、言葉のようなもの、の状態。なんとなく測れそうな、測れなさそうな、モノサシ、のようなもの。
でははっきりと言葉になれば測れるのか、それも分からない。

3階には、茶室(!)がある。床の間の花とともにある作品、"WA"(和)。
20110915cecileandrieu-9.jpg

あまりにも床の間に馴染んでいるので、「作品はどこですか?」と聞かれるそうな(笑)。
中央にあるのが、「縦書き」。右にあるのが「横書き」。これは原稿用紙であるらしい。
縦書きには墨汁、横書きには顔料を使用して、黒い罫線となっている。
無限のページが広がる原稿用紙・・・、文筆業を生業とされている方には非常に恐ろしいかも知れない。

他の作品は実際に展示を見て頂くとして、紹介は以上。
タイトルが示すように、静かな空間に、無言の、無数の声が響き渡る、緊張感に満ちた展示。
また、環境的にも建築的にもユニークな空間を意識した展示は、実際に足を運んでみないと体感できない。
会期や開廊時間は、ギャラリーホームページにてご確認を。

(斎藤)
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ソーシャル・アートの可能性 1
4月から毎月最終水曜日にUPLINKにて、窪田研二がゲストを招いて行っているトークイベント「ソーシャル・アートの可能性」

今までのゲストは、Chim↑Pom、遠藤一郎、宮島達男、空族、ハスラーアキラ。
社会と積極的に関わりながら作品を発表しているアーティストとともに、芸術と社会の関係について考察している。期せずして3.11以降にスタートする事となった。ゲストたちの、いまこの社会に生きていることへの、真摯な姿勢に胸を打たれる。

見逃した方のために、ハイライト。

4月のゲストは Chim↑Pom から、卯城竜太、林靖高。震災直後ということもあり、福島第一原発周辺で撮影した映像等も交えながらトーク。紅一点のエリイが映像に登場していなかったのだが、「車が定員オーバーだから留守番ねって言われた」と、別の機会に耳にした。
4月にトーキョーワンダーサイトで行われた Japan Art Donation のチャリティー展「Art for Tomorrow」で、津波によって破壊された家屋に取り残された犬が、じっとこちらを見つめる写真作品を出品した彼らが言っていたのは、「いまこのことを扱わないで、なにを扱うのか」。
このトークの数日後に、渋谷駅にある原爆をテーマにした岡本太郎の壁画「明日の神話」に「作品を付け足した」のが彼らであることが発覚し、大きな話題となる。

5月は遠藤一郎。「ふつう研究所」所長の経歴から、黄色いワゴンに「未来へ」という言葉を描き、たくさんの人の未来への夢やメッセージで埋め尽くされた「未来へ号」で日本中を走る現在の活動までを紹介。ちなみに最近ワゴンから、本人曰く「夢だった」マイクロバスへとグレードアップ。被災地である大船渡と横浜・黄金町を結ぶ定期便を運行中。
彼の活動は震災前も震災後も基本的には何も変わらず、様々な人や場所を行き来し、結びつけている。彼は、活動の中で生まれてくるムーブメントの中心に自分を置かないように心がけているように見える。生まれたら自立させて、また次に向かい、時々戻ってくる。それは自分が中心に居続けることより遥かに難しいことだと思うのだが、同時に非常に重要な部分である気がしてならない。

6月、宮島達男。言わずと知れた世界的アーティストである彼が、いわゆる美術作品の制作と平行して続けている「時の蘇生 柿の木プロジェクト」についても詳しく語られる。このプロジェクトを始めた当初(いまでも?)は、美術関係者からは全く話題にされなかったという。しかし、彼が自らの作品の核としている「3つのコンセプト」、「それは、変化し続ける。それは、あらゆるものと関係を結ぶ。それは、永遠に続く。」を、もっともダイナミックに内包している活動とも言えるのではないか。
余談だが、「宮島さんの作品はとてもクールなので、本人のキャラクターとギャップがあって驚く」と参加者からコメントが。確かに・・・。

さらに「ソーシャル」の度合いが増して行く、7月の空族、つい先日8月のハスラーアキラについては、次回に続く。

ちなみに、次回9月28日(水)の「ソーシャル・アートの可能性」@UPLINK 速報!東京のオルタナティブ・スペースのオーガナイザーたちをゲストに迎え、その活動について考察していく。詳細はUPLINKホームページに掲載される予定。
予約は、factory@uplink.co.jp まで。

※9月13日追記※
9月28日は内容が変更となりました。詳細はUPLINKホームページ、KENJI KUBOTA ART OFFICE ホームページにて後日発表致します!

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5月のゲスト、遠藤一郎(左)と窪田研二(右)。

(文中敬称略)

斎藤ふみ
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美女、という名の「彼女たち」。
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その女性たちはカラフルでおしゃれな服を着ていて、真似したくなる様な素敵なメイクをしている。
初めて飯沼英樹の作品を見た時、ファッション雑誌から抜け出て来たような、という形容詞が頭に浮かんだ。
実際に雑誌のグラビアを見て彫っている作品、それはもちろんだが、彼は街中でスナップ撮影した女性たちを彫る事もある。
そして出来上がった作品である「彼女たち」を屋外で”ロケ撮影”することもある。
作家は文字通り「いま」の空気を捉えながら、女性たちを作品化し続けている。

そんな「彼女たち」からは、アカデミックな雰囲気は全くしないのだが、作家は過去の彫刻の歴史を非常に意識し制作していると言う。
例えばギリシャ彫刻では、ポーズ(動き)によってその人物の性格を表現する。彼は自分の作品の女性たちのポーズも、その役割を担っていると言う。彼の作る女性たちは、一見するとまったく性格を伺い知れないポーズをとっていることもあるのだが・・・、それが非常に魅力的でもある(女性は少々ミステリアスな方が、魅力的なのだ!)。

展示のイベントでのトークや、新聞等のインタビューで、飯沼は作品のコンセプトとなるキーワードをいくつか語っている。
「男である自分の中の女性性」「憧れ」そして「コンプレックス」など。
しかし彼の作る「彼女たち」と初めて対面した時、それらのキーワードはほとんど意味をなさない。

街で、バーで、109で、いろいろな女性を見かける。きれいな人、影のある人、力強い人、ケバい人、奇妙な人、そっくりな人・・・。
その女性特有の印象はその人の魅力である。
彼の作る「美女」たちはとても魅力的だ。それはきっと彼が初めて彼女たちに出会った時に感じた「魅力」を、ただひたむきに、彫刻という形にしているからだろう。そこから、彼にとっての魅力の元を探って行くと、前述のキーワードに行き当たるのではないか。
平安時代のお歯黒、アムラー時代の細眉・・・。「美女」の定義は時代とともに変わる。しかし、女性それぞれの「魅力」は普遍である。

魅力的に見えた「美女」と話してみたら、意外とがっかり・・・、というのは、男のロマンの仕業である。

飯沼英樹 個展「美女」展は、東京 XYZ Collective での展示を終えて、8月14日(日)まで 金沢SLANT にて開催中。

(斎藤)
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人の島
おひさしぶりです、斎藤です。
ゴールデンウィークも最終日の今日、横浜へ行ってきました。
目的は、「東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻修了展」を見る事。

アニメーション作家、画家でもあるALIMOさんの作品を見る事が主な目的でしたが、会場となった馬車道駅そばの芸大校舎内の混雑ぶりにびっくり。多くの人が注目している展示だったようです。

「2010年度一年次作品」という、院1年生の修了作品の上映(トータル70分ほど)を観る。
面白いものもあれば、良くない意味で「?」の作品も。
アニメーションだけ、しかも全て違う作家の作品の連続上映、という形、かなり集中力を使い、へとへとに・・・。

このプログラムのトリを飾ったALIMOさんの作品は、「人の島」。
彼の作品はアニメーション・タブローという独特の技法で制作されています。1枚のキャンバスに絵を描き、撮影したものが1コマになり、その上に重ねて次のシーンを描き撮影する、という行為の繰り返しで、長い時間をかけて作品が完成します。ゆえに、できあがったアニメーションは、全てのコマ(絵)の集積で、その質感はとても「深い」ものとなる。
一人の男の回想で、アニメーションの時間の流れとは逆に、過去へと遡ってストーリーが語られる構造。「個と社会」という、彼がいつも関心を寄せているテーマが、今回も主題となっていました。
制作には非常に時間がかかるとわかっていますが・・・早く次の作品も観たいです 笑

写真は、私の家の隣のアパートのおばあさんが育てていると思われる、サボテンの花。
真ん中にぽっかり空洞がありそれが奥へと続いている構造に、しばし目を奪われる。
人が作ったものと、自然が作ったもの。
いいバランスを見つけるのは困難だが、模索する事が大切であるように思う。

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Japan Art Donation
こんにちは、窪田です。
先日のブログでご紹介したとおり、Japan Art Donationの準備を進めてきました。
そしてようやくウェブサイトが完成しましたのでご報告します。

http://japanartdonation.org/


数多くの美術関係者が賛同し、メッセージを寄せて下さいました。
ぜひご覧いただき、皆さまのご協力をいただけると幸いです。


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